蝋石の紹介
蝋石とは
蝋のような光沢と感触のある、柔らかく、きめ細かい鉱石です。色は、白っぽいものから淡緑、淡黄などがあります。
明治時代に学用品として石筆づくりをした際に蝋石の採掘が本格的に始まり、その後に耐火煉瓦やクレーの原料として使われるようになったことから、需要が高まりました。
蝋石からできる主な製品
耐火物とは
耐火物とは、高温に耐えられる素材のことを指します。
耐火物には、「定形耐火物」と「不定形耐火物」があり、定形耐火物は耐火煉瓦やプレートなど形状を与えたもの、不定形耐火物は粉末状のもので、セメント等にして使用されます。
ガラスや鉄を溶かした温度(1,500℃以上)に耐えることができます。
耐火物の発展
もともとは蝋石で石筆づくりを行っていた加藤忍九郎氏が、三石の蝋石が耐火性に優れていることを知り、時代の耐火用途の需要を見越したことが、備前の地域を国内最大の耐火物の生産地とした大きな要因です。
忍九郎氏は、明治23年11月に三石耐火煉瓦(株)を設立し、耐火煉瓦の製造を開始します。
研究に研究を重ねて作られた耐火煉瓦の好調さは目を見張るものがありました。
明治末期には海外技術の導入等によって国内産業の発達、とくに基礎産業である鉄鋼産業の発達に伴い、耐火煉瓦の需要が増大したこともあり、備前地域での耐火煉瓦はさらに盛り上がりを見せました。
大正9年には、備前地区のレンガの生産が全国の76%を占めるようになり、全国首位を誇るほどまで産業として成長しています。
蝋石クレーとは
蝋石クレーには、製紙・塗料・ゴム・アスファルト・建築材料等のさまざまな用途があります。
蝋石クレーの持つ特徴として、耐火性が優れていることからゴム製品に添加される難燃剤に使われたり、また身近なところでは、蠟石クレーの独特の粘性から、ペンキやインクなどの塗料の添加剤としても使用されています。
蝋石クレーの発展
日本でクレー興業の本格的な企業体が出現したのは、明治29年5月王子製紙が急速な需要の伸びを示す用紙の原料として、三石地区の蝋石の粉砕に着目して三石クレー株式会社を設立したのが最初です。
その後年々増大する需要に応ずる為に各地にクレー工場が設立されました。
岡山県でも次々と中小の工場が設立され、昭和22年に「岡山県クレー工業組合」を設立し、全体的な発展をはかっていきました。昭和40年の統計では全国のクレー生産量の29%を占めており、クレー興業の一大中心地でありました。
岡山のクレー工場はすべてが備前地区(吉永・三石)に集中しています。
その中でも中心は吉永地区であり、これは先に発展していた耐火煉瓦工場が三石地区に集中して設立されていたため、やむなく中心が吉永地区に移ったのではないかと考えられています。
普段の生活の中にも、蝋石を使用した製品があります
蝋石は加工されて、さまざまな製品に使用されています。
実は私たちの生活の中にも、蝋石を使用した製品がたくさんあるのです。
農薬の基剤
洗顔パック
衛生陶器
食器・陶磁器